大阪府箕面市桜井 山本動物病院 日本獣医がん学会腫瘍科認定医

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犬の乳腺腫瘍

 犬の乳腺は、左右対称に5~7対あります。ちょうど真ん中の3~4番目の乳腺には、頭側としっぽ側からそれぞれリンパ管や血管が入り込んできています。このことは外科手術をどこまでするか決定する際非常に重要となってきます。この乳腺にできる腫瘍は、乳頭の周囲に硬めのしこりが触れるのが特徴です。(前脚と後脚の付根には左右にリンパ節があります。)

発 生 率・・・メスの全腫瘍中 52 % ( 人の3倍 )
組織所見・・・良性: 50 % 悪性: 50 %

 乳腺腫瘍の原因は詳しくは分かっていませんが、その発生にはエストロジェンやプロジェストロンなどの女性ホルモンが関係していると言われています。一部では遺伝の影響も考えられています。少し話はずれますが、腫瘍の発生因子として避妊実施の有無あるいは避妊時期によってその発生率はかなり違ってきます。下の表で避妊実施時期とその発生率についてみてみましょう。

乳腺腫瘍

 乳腺腫瘍は外科的に切除する方法がベストです。下の表から分かるように、一般的に乳腺腫瘍は約半数が悪性と言われており、早期の切除が根治につながると考えられています。

乳腺腫瘍

手術の方法は、次のような方法があります。

部分切除

検査が主な目的で一部だけ切除します。

乳腺腫瘍

< メリット > 手術時間が短く、傷が小さくてすむ 入院 0 ~ 1 日程度
< デメリット > 病理組織検査で悪性の場合、再度大きく取り直す必要がある。
        乳腺自体は残るので、再発が多い。

第1~3乳腺摘出術、第3~5乳腺摘出術、または片側乳腺摘出術

乳腺腫瘍

< メリット > リンパ管の流れを考慮した切除方法 乳腺自体をはずすので,
       手術部位での再発率は低い。
< デメリット > 手術時間、経費がかかる (1 ~ 1.5 時間 ) 入院が必要(2 ~ 4 日程度)

手術により完全にしこりがとれ、傷がきれいに治ったらひとまず安心です。しかし、外科的にきれいに取り除けたように見えても、顕微鏡のレベルでは乳腺の細胞が残っているかもしれませ
ん。つまり再発の危険性は残されていますので、定期的な検診で早期発見に努めましょう。

病理診断の評価

術後の病理組織検査で次のような所見があった場合にはさらなる治療が必要です。
① 切除縁(マージン)に腫瘍細胞があった場合
② リンパ管内浸潤もしくはリンパ節転移があった場合
③ 脈管内浸潤があった場合

外科手術後の病理組織診断

① 切除縁(マージン)に腫瘍細胞があった場合

乳腺腫瘍

② リンパ管内浸潤もしくはリンパ節転移があった場合

乳腺腫瘍

③脈管内浸潤があった場合

乳腺腫瘍
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